小5理科②:川の上流・下流と川原の石
この記事で学ぶこと
川は、山奥の「上流」から、平野の「下流」へと、長い旅をしている。その旅の途中で、川のまわりの景色や、川原に転がっている石の様子は、大きく変わっていくんだ。今回は、川の場所によるちがいを観察し、その理由を解き明かしていくよ。
川の旅のはじまり:「上流」のすがた
川の旅がはじまる山に近い「上流」は、川の傾きが急で、流れがとても速いのが特徴だ。水の力が強いため、川岸や川底をけずる「侵食」の働きがとても活発だよ。
そんな上流の川原に落ちている石を見てみると、大きくて、ゴツゴツと角ばった石が多いことに気づくだろう。これは、石が山からけずり取られたばかりで、まだあまり旅をしていない証拠なんだ。
川の旅の途中:「中流」から「下流」へ
川が平地に出てくる「中流」から「下流」へ向かうにつれて、傾きはどんどんゆるやかになり、流れもおだやかになっていく。川は、上流でけずった土や砂、石を運ぶ「運搬」をしながら、流れがおそくなった場所でそれらを積もらせる「堆積」をはじめるんだ。
そして、下流の川原の石は、上流とはまったくちがう姿をしている。小さくて、全体的に丸みを帯びた石が多くなっているはずだ。
ちさまるといっしょに考えよう!
どうして、川を流れていくだけで、石は小さく、そして丸くなるんだろう? 誰かがけずっているわけでもないのに、ふしぎだね。
コレクトの論理 de 解説
その疑問を解く鍵は、水の「運搬」作用にあります。石は、水に流されて運ばれるとき、ただ静かに移動しているわけではありません。川底を転がり、他の石と何度も何度もぶつかり合います。その衝撃で、ゴツゴツしていた角が少しずつ削られて、だんだんと丸くなっていくのです。これを「摩耗」と言います。
そして、流れがゆるやかになると、水は重いものを運ぶ力を失います。そのため、大きくて重い石は上流や中流で先に川底に置かれ(堆積し)、小さくて軽い石だけが、さらに遠くの下流まで運ばれていくのです。これが、下流ほど石が小さい理由です。
コレクトの発展ラボ
豆知識ですが、川原に積もっている石の大きさや種類、丸みを調べることは、その川の過去の姿を知るための重要な手がかりになります。例えば、下流のはずなのに大きな石が転がっていれば、「昔、ここは大雨で激しい流れがあったのかもしれない」と推測できます。石は、地球の歴史を語るタイムカプセルのようなものなのです。
チャレンジ問題:この石はどこから来た?
きみは、海にとても近い、ある川の下流の河口で、石拾いをしている。そこで、手のひらよりも大きく、表面がザラザラで、角がとがった石を見つけた。この石は、はるか遠くの山の上から、長い時間をかけてこの川を流れてきたものだろうか? それとも、そうではないだろうか? 理由をつけて答えよう。
こたえを見てみる
こたえ:そうではないと考えられる。
【理由】もし石が、はるか遠くの上流から長い時間をかけて運ばれてきたのであれば、流される途中で何度も他の石とぶつかり、角がけずれて丸くなっているはず(摩耗)。また、大きくて重い石は下流まで運ばれにくい。見つかった石は「大きくて角がとがっている」ことから、この下流のすぐ近くの崖などから、最近になって川に落ちたものである可能性が高いと考えられるから。