小5理科③:雨の降り方と増水
この記事で学ぶこと
雨がふると、川の水が増えるのはなぜだろう? そして、山にふった雨と、町にふった雨では、川への水の集まり方にちがいがあるんだろうか? この単元では、雨水が地面にしみこむ様子や、川の水かさが増える「増水」のしくみについて、くわしく見ていくよ。
地面にしみこむ雨水のゆくえ
地面にふった雨は、すべてがすぐに川へ流れこむわけではない。まず、雨水は地面の中にしみこんでいく。そして、しみこんだ水は、ゆっくりと時間をかけて、地中を移動し、やがて川にしみ出してくるんだ。これを「地下水」というよ。
いっぽう、地面が水を吸いきれなかったり、雨の勢いが強すぎたりすると、水は地面の上を流れて、直接川へと向かう。このおかげで、雨がやんだあとも、川の水はすぐには減らず、しばらく流れつづけることができるんだ。
ちさまるといっしょに考えよう!
学校の土のグラウンドと、コンクリートの通路。同じ量の雨がふったとき、水たまりができやすいのはどっちかな? そして、それはどうしてなんだろう?
その通り、水たまりができやすいのは、コンクリートの通路だね。それは、土とコンクリートで、水のしみこみやすさがちがうからだ。土は水を通しやすいけど、コンクリートやアスファルトはほとんど水を通さない。このちがいが、大雨のときの川の増水に大きく関係してくるんだ。
雨の降り方と川の増水
川の水かさ(水位)は、雨の降り方によって大きく変わる。特に、短時間にたくさんの雨(集中豪雨)がふると、川の水は急に増えることがある。これは、地面が雨水を吸いこむスピードよりも、ふる雨の量が多くなり、地面の上を流れる水の量が一気に増えるからだ。
そして、もう一つ大切なことがある。それは、山に雨がふってから、下流の町の川が増水するまでには、時間がかかるということだ。だから、「今、自分のいる場所で雨がふっていないから安心」とはかぎらないんだね。
コレクトの防災ラボ
これは、防災において極めて重要な知識です。上流の山間部で集中豪雨が発生すると、その大量の水が数時間後に下流の市街地に到達し、突発的な洪水を引き起こす危険性があります。天気予報で自分の住む地域だけでなく、川の上流の地域の雨量にも注意をはらうことは、命を守るための論理的な行動です。
豆知識ですが、市街地化が進み、地面がコンクリートやアスファルトで覆われると、雨水が地面にしみこむ量が減り、より速く、より多くの水が川に流れ込むため、洪水のリスクが高まることが指摘されています。これを「都市型水害」とよびます。
チャレンジ問題:天気と川の水位グラフ
右のグラフは、ある川の近くの、時間ごとの雨の量と、川の水位の変化を表したものです。
(※ここにグラフの画像が入る想定)
グラフを見ると、雨がいちばん強くふった時間と、川の水位がいちばん高くなった時間には、ずれがあることがわかります。なぜ、このような「時間のずれ」が生まれるのか、理由を説明してみよう。
こたえを見てみる
【理由】
地面にふった雨のすべてが、すぐに川に流れつくわけではないから。ふった雨は、まず地面にしみこんだり(地下水になったり)、地面の上を時間をかけて流れたりして、ゆっくりと川に集まってくる。そのため、雨のピークと、川に水が集まって水位がピークになるまでには、時間のずれが生まれるんだ。